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「モノたちの反乱」 01

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ある近代的な街の、塔のてっぺんにニコラという名前の青年が独りで住んでいました。朝になると、ニコラは地下鉄に乗って会社へいき、夜になるとバルコニーに来る鳥たちのために食事を分けてやり、テレビを見て、お風呂に入り、柱時計の音を聞きながら眠りにつきます。しごく普通の生活です。

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「モノたちの反乱」 02

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第1幕
しかし、ある朝明けたその日はそれまでの日とは似ても似つかない一日となるのです。とはいえ、すべてはいつもの通り始まります。ニコラは起きて着替え、近くのコーヒーショップに朝食を食べに出かけました。ニコラはコーヒーの紙コップと、一袋の砂糖、そして紙ナプキンを取りました。

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「モノたちの反乱」 03

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ニコラは小さなスプーンでコーヒーをかき混ぜた。そして、なにやら抵抗を感じた。スプーンが逃げ出してコーヒーの中に戻りたがらない。さらには手からもするりと抜け出し紙コップのすみに「I」の字のごとくまっすぐと立ち、話しはじめる。「ぼくをゴミ箱に捨てないで」ニコラは自分の耳が信じられない。「スプーンがしゃべってる? なんてこった。夢見てるのかな?」

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「モノたちの反乱」 04

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スプーンは怒った声で、なおも喋りつづける。「スプーン殺し!」「別に君を殺したくなんかないさ。僕のコーヒーに砂糖を混ぜるために君が必要なだけだよ」「わかってるよ。でも、僕がコーヒーに砂糖を混ぜてしまったら、僕は捨てられるんでしょ? たったの20秒しか僕を使わないはずだよ。僕のことや僕を作ってくれた人のことを考えて!!」

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「モノたちの反乱」 05

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その時、大きなざわめきが聞こえた。たくさんのモノたちが話はじめる。

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「モノたちの反乱」 06

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「僕はね、さらわれたかと思えば熱いコーヒーを入れられてやけどして、やっぱり最後には捨てられちゃうんだ」と紙コップは言う。一番大きな紙コップが立ち上がり、「つまりモノには2通りあるというわけだ。いつまでも大切にされる美しいモノ。そして1度しか使われないはかないモノ。しかし何を基準に区別してるんだい? 不公平だよ!」

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「モノたちの反乱」 07

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ニコラは答えようとする。「素材じゃないかな? 陶器のお皿は保存する。陶器は貴重だからね。でもプラスティックのお皿は捨ててしまう」そこにいたコップ、お皿などがいっせいにさけぶ。「プラスティックだって立派な素材だぞ。病院での活躍ぶりを見てみろ。例えば注射、いろんなところで患者の病気を治すのに役立っているんだから。プラスティックだって貴重な素材だよ!」

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「モノたちの反乱」 08

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続いて大きな電気湯沸かし器が付け加える。「あなたたち人間はまったくもって頭が悪い。貴重な素材を箱に閉じこめておくんだから」「どういうこと?」
「そうでしょう。金ですよ。金貨を金庫に閉じこめているではありませんか」。
昼も夜も眠っているだけのモノほど悲しいものはありません。外に出て少し働くことができればどんなにいいでしょう。

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「モノたちの反乱」 09

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「私たちモノは大きなゴミ箱に捨てられるか、真っ暗な箱に閉じこめられてしまうんだ」モノたちがコーラスする。「だけど私達だってあなた達と同じように光やふれあう温かさがすきなのに、あなた達の役に立つのは嬉しいんです。でも、ありがとうと言ってくれなくちゃ」

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「モノたちの反乱」 10

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「それに、お前がおれ達を捨てると、おれ達は燃やされて真っ黒な煙をだすんだぞ。そいつは毒になるんだ。汚れた空気を吸ってお前の肺は真っ黒になっちゃうぞ。でも、それはおれ達のせいじゃない」

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「モノたちの反乱」 11

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「じゃあモノは生きているの?」
モノたちが声を揃えて、
「もちろんだよ。知らなかったの?」
「おいで、モノ愛護団体に連れていってあげるよ」

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「モノたちの反乱」 12

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第2幕
テーブルを囲んでモノたちが会議中。

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「モノたちの反乱」 13

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「たとえば犬を見てごらんよ。いったい、この犬は流行じゃないから 捨てちゃおうって誰が いうかい? そんなこと言わないさ。だったら、もっとかっこいいモノが売ってるからといって どうしてあるモノを捨てるのさ? まだ新しくってちゃんとばっちり使えるのに隅っこに捨てられた携帯電話を見てごらんよ。

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「モノたちの反乱」 14

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「それに、もっと沢山の ゴミ箱が 必要になるわ。ゴミ箱だってもっと大きくしなきゃ。」

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「モノたちの反乱」 15

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「捨てられなくたって、戸棚にしまいっぱなしじゃ 牢屋も一緒だよ。戸棚は使わないモノでいっぱいだ。」

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「モノたちの反乱」 16

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「本当よ。」アイロンが言う。「戸棚から出る時は、すぐにつながれちゃうんだから。自由じゃないったら ありゃしない。いつもコンセントにつながれてさ。」

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「モノたちの反乱」 17

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第3幕
平和に向かって。モノたちとニコラはモノ愛護団体でおちあった。

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「モノたちの反乱」 18

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ニコラとモノたちは平和条約を結んで、一緒に解決法を探すために再び合うことを約束した。委員長と年老いて動くのもままならない電気湯沸かし器がどうしてもと言ってやってきました。

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「モノたちの反乱」 19

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すっかり納得したニコラは、我々に古いものを大事に使うかわりに新しいのを買わせる消費の考え方に対向しなければならないと思いました。
消費者は怒りっぽい生き物です。ちょっとした故障ですぐそのものに見向きもしなくなります。

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「モノたちの反乱」 20

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人や動物のためには病院があります。モノのためのお医者さんがいても、いいではありませんか。服がやぶけたらつぎはぎをしよう。傘が言います。「ちょっと破れただけなのに、もう使ってもらえないんだから。
「僕たちには修理するための2本の手と10本の指があるぞ。」
「やる気さえあれば大丈夫」

「もう君たちが捨てられるのはごめんだ」とニコラは言いました。
年老いた電気湯沸かし器が会議の終了を宣言しました。

モノは捨てられたり、しまわれたりするためにつくられたのではありません。モノたちは再び使われる機会を首を長くして待っています。不要になったものが必要としている人の元へ渡ったり、必要な時に必要なものを借りられるモノ共有棚が街にあったらいいですね。モノ愛護団体をつくってもいいし。動物愛護団体だってあるのだから。

エピローグ
モノたちは再び生き返ったような気がした。
人々がモノ共有棚を訪れてモノを必要なとき、必要なものを借りていきます。
ゴミ箱は、再び小さくなりました。
煙突はもう黒い煙を出しません。
子どもたちの咳も、やみました。
静かに季節が流れます。
人とモノは優しく一緒に年をとっていきます。
おしまい。

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