「スローフード」という言葉が知恵蔵2004にはじめて登場した。
http://www.melma.com/mag/27/m00070027/a00000116.html
その内容はこうだ。
引用開始
■スローフード[slow food]
ファストフード(fast food)の健康や情緒に及ぼすマイナス影響、ひいては
食文化の荒廃を危惧する警鐘、として提唱された言葉。食材や調理法、食べ方も、
人工的で不自然なファスト(速い)から、本来的で自然なスロー(ゆっくり)に
立ち戻ろうという運動が、1980年代末にイタリア・ピエモンテ州で始まり、環境
問題の深刻化やBSE(牛海綿状脳症)など、食品にまつわる事件とも相まって、
世界規模のNPO団体となった。世界47カ国に会員数約8万人、日本でも15カ所の
支部がある。各地で安全な食を求める消費者を結び、有機栽培や小規模経営の生
産者を支持し、その環境をも守ろうとする食のエコロジー活動でもある。その一
環として、2000年にはスローフード・アワードが設けられ、02年度の受賞者の1
人に、佐賀県で古代米を有機栽培する武富勝彦が日本から初めて選出された。
(知恵蔵2004「食生活」分野より)
引用終了
このように、編集や印刷に時間がかかる紙の辞書に「スローフード」という言葉が載るというのはすごいことだ。では、各社オンライン辞書に「スローフード」は載っているか? 調べてみた。
livedoor辞書(大辞泉(小学館))
ヒットせず。しかしlivedoor辞書にはJapanKnowledgeから新語検索の提供を受けていることもあって、こんな言葉がヒットした。
・スロー・フィッシュ
・ホールフード
・スロークッカー
「スローフード」はヒットしないのに、こんなマニアックな言葉がヒットするというのは、なんなのだろう。
Yahoo辞書(大辞泉」「プログレッシブ英和中辞典第3版」「プログレッシブ和英中辞典第2版」)
すべてヒットせず。
エキサイト辞書 大辞林 第二版 (三省堂)
ヒットせず。
goo辞書
なんと 「スローフード」、「スローフード運動」の2語もヒット!
引用開始
スローフード 【slow food】
食生活を見直そうとする運動。伝統的な食材や料理を守り,質の良い食材を提供する小生産者を保護し,消費者に味の教育を行う。イタリアで始まった運動が世界的に広まった。また,運動を進める同名の非営利組織がある。スロー-フード運動。
〔ファースト-フード(fast food)へのアンチテーゼから〕
三省堂提供「デイリー 新語辞典」より
引用おわり
infoseek辞書 (大辞林(国語辞典)、コンサイス カタカナ語辞典)
どちらもヒットせず。
番外編で英和和英辞典で検索。
英辞郎on the web
和英スローフードだとヒット。
英和slowfoodだとヒットせず。
最後にフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で検索してみるとなんとヒット!
引用開始
スローフード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia)』
スローフードとは1986年に、イタリア北部ピエモンテ州のブラ(Bra, ブラッと表記する場合もあり)の町で始まった。当時、『ゴーラ』という食文化雑誌の編集者だったカルロ・ペトリーニが、イタリア余暇・文化協会(ARCI=アルチ)という団体の一部門として、「アルチ・ゴーラ」という美食の会を作ったのが始まり。アルチ自体は、草の根的なイタリアの文化復興運動である。120万人以上を有する巨大な組織。土着の文化、つながりをベースにしており、スローフードの理念と密接なかかわりを持つ。
当時、マクドナルドのイタリア第1号店がローマに開店し、それがファーストフードにイタリアの食が食いつぶされる、という危機感を煽り、自分たちの食を見直し、守りたいという動機につながったという。具体的な活動についての下記の3つの指針がある。
1. 消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
2. 質のよい素材を提供する小生産者を守る。
3. 子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。
その後、美食とは何かという問いかけから、伝統の食事、素朴でしっかりとした食材、有機農業、健康によいものに関心が向かうようになり、一挙に人の注目を惹くようになってきた。その後、日本にも紹介され、各地に支部や共鳴者を集めている。世界中に70,000人以上の会員を擁するという。
この言葉は、ファーストフードと対立するものという意味で作られたが、決して、ファーストフードを否定、排斥するものではない。グローバリズム(地球的な普遍化)には、地域主義を対置させる。その意味では、村おこし運動などともつながってくる。シンボルマークは、カタツムリである。ゆっくり、のんびりと、の意。
日本では、島村菜津の著書『スローフードな生活』が出て、広く知られるようになった。
引用おわり
ウィキペディアおそるべし。ここまでしっかり説明されている辞書はほかにはない。説明が辞書っぽくないのもいい。ほかの言葉を見ても、市販の辞書がほとんど掲載していないような言葉も、けっこう網羅しているようだ。
シソーラス(類語)検索だと、同義語が1語(伝統料理)、広義語が1語(食文化)、関連語が6語(食料品店、デリカテッセン、デパ地下、ホテイチ、郷土食、伝統食材、反議語に1語(ファーストフード)が導き出された。
デパ地下、ホテイチも関連語というのがおもしろい。もっと重要な関連語があると思うけどなあ。
最後に、辞書といえば広辞苑でしょう、というわけで広辞苑に載っているかどうかさがしてみたが、どうも情報がないので、載っていないようだ。というわけで、「スローフード」という言葉を横軸に、辞書を横断してみたわけだけど、「スローフード」という言葉が世の中でどういう位置づけにあるのか見えてきて、面白いですね。
ほかの辞書にも載っていたよ、という報告があったらコメントまでお願いします。