


photographs by Masaya Tanaka
text by Naomi Funakawa
昨年10月15日、東京「めぐろパーシモンホール」ではじめて私たちの前に片鱗をみせた高木正勝の「タイ・レイ・タイ・リオ」プロジェクト。コンサートの帰りに感じていた高揚を、こうして何度も味わえるとは、そのときはまったく思いもよらなかった。
東京の2公演、昨年12月の岩手の1公演。
そのときに制作されたビジュアルブック『Tai Rei Tei Rio』。
3公演の演奏と、公演直前リハーサルの音を高木が整えてパッケージにしたCDアルバム「タイ・レイ・タイ・リオ」。
そこに同梱される形で発表される神話集『タイ・レイ・タイ・リオ紬記』。
さらには、7月4日公開の、コンサートに至るまでの日々と当日の模様を追ったドキュメンタリー映画『或る音楽』。
そしてプロジェクトの特設ウェブ。
高木の思いを紡いでいく、こんな一連の動き。『ソトコト』2009年8月号で紹介しきれなかった、1時間に及んだインタビューのすべてをここに掲載します。ポッドキャストでは、音声メッセージも。お楽しみください。
「タイ・レイ・タイ・リオ」と「守護霊」
——ステージに「それ」が立ち上がれば大成功。
ソトコト(以下S)「昨年10月に行われた、『タイ・レイ・タイ・リオ』のコンサートは素晴らしかったですね。新曲もたくさんやられて」
高木正勝(以下高木)「ありがとうございます。あの時、新しく作った曲は、実は半分もなくて、あとは、映像用にもともと作ってあった曲とか、未発曲とか、使えそうなものを探してきて。それを皆でアレンジして演奏しました。
プロセスとしては、曲を整えたらすぐにネットサーバにアップして、それぞれのパートのミュージシャンにダウンロードをしてもらいました。そして、こっちの考えているイメージを伝えて。
『ここはこう弾いてほしい』とキッチリ決めて頼んだとしたら、一人でやるのと変わりない。だから、やってほしいことの雰囲気を把握してもらえる最低限の『型』だけを伝えて、曲を想像できるギリギリのラインで止めてお願いしました」
S「バンドのメンバー選びはどう行ったんですか?」
高木「いつも、バンドメンバーは僕の音楽に合いそうなミュージシャンをマネージャーやスタッフが選ぶんです。だいたい、それで大丈夫なんです。僕の知らないところで、イーリアンパイプスの演奏家の方とかも選んでもらったり。以前、いっしょにやったことのある歌や太鼓などのパートは自分で決めたけど、たぶん……たとえ誰がきたとしても、今回のコンサートのようなカタチになったかなという気もしている。もちろん集まってくれたメンバーが最高で最強だったのは言うまでもないですが」
S「高木さんの世界観が共有できているということですか?」
高木「いや、僕の世界観は重要じゃなくて。作品に関しても、気にしてもらわないでいい。今回は、『日本人ならわかるでしょ』……って世界観をみんなで作ろうとだけ思ってやったんですよ。でも、何も取っ掛かりがないとみんな困るから、入り口としてまずは曲の型を作って……。
でも、それは本当にただの入り口でしかなく、そこから先は一人ひとりが感じとって作り上げていって欲しかった。例えば、『こんなバイオリン、素晴らしいだろうなぁ』という要素を、自分勝手な思い込みで僕がデモにしておく。演奏するメロディじゃなくて、演奏する姿勢みたいな、演奏家の在り方を提示するんです。そうすると演奏者が、『それは面白い』って応えてくれる」
S「徐々にイメージを共有して……」
高木「……それと、こんなこと言っていいのかな。ちょっとあやしい人みたいだけど(笑)。全員に、『自分の守護霊を連れてきて』と伝えました。この感覚をどう説明していいかわからなかったので。祖先でも何でも……きっと誰でも何か後ろに持っているものがありますよね? それを持ってきてほしいと。コンサートの最中に、ステージ上にそんな守護霊的なものが立ち上がってきたらいい、と思って。今回のコンサートは、それが立ち上がりさえすれば大成功だったんです」
S「じゃあ、曲というよりも?」
高木「曲を、どうやって弾くのかは大きな問題でなく、とにかくその『背後霊』一点だけを狙ってくださいって言ったら、みんな分かってくれたんです。『あ、そういうことか』って。『それだったらやりたいし、できるかも』となり、面白がって演奏してくれました。曲に関する最低限の構成はリハーサルで整えたんですが、いざ始まると、『忘れていいよ。何を弾いてもいいよ』という感じで。楽しかったですよー、やってる本人たちは(笑)」
S「放任主義で、それぞれのいいところ伸ばしていく。教え上手な先生みたいですね(笑)」
「音楽」と「神話」
——神話は、伝えるべき何かを描けていない。

ドキュメンタリー映画『或る音楽』より
S「では、あらためてこのコンサートのテーマを教えてください」
高木「そもそもこのプロジェクトの始まり自体が、『日本人の音楽を作りたい』というところでした。『日本人がやるコンサートとは?』、それを改めて考えよう、と。そこからスタートしています。
自分の立脚点すらわかっていないのに、自己表現なんてできないと思うんです。そもそも、そんな『自己表現』なんてどうだっていいし、誰も聴きたくないだろうし。
では何をやろうと考えたときに、日本の村祭りみたいなものはどうかなと思ったら、構成もすんなり決まりました。
自分ひとりでやっていると、物事がスムーズにいく時の感じは分かる。でも、僕が見たいのは、祭りのごとく、一気に10人それぞれが同時にそういった感覚の状況になったらどうなるのかと思ったんです。まだ知らないから、見てみたいと思って。今回はそれを調整する作業でした」
S「監督みたいな?」
高木「そう、オーケストラの指揮者と似てるのかな。ピアノを弾きながら、呼吸や身体の振りで指揮をする。
今回のアルバムは、ミックスに半年かかりました。今までは、音の出し方の正解例をわかりながら作っていて。“カミさま”を描く時に顔の形がすぐに描けるとか、ポップスの世界だったら今はこれが新しいとか、これまで到着地点はわかっていた。でも今回はそうでなく、音楽の真ん中にあるものをきちんと捉えたいと思ったんです。コンサートの時は、勝手に出来たと思っていたけど、それをCDに残すんだったら、その真ん中の芯の部分までちゃんと表わしたいと考えたんですよ。そう考えてミックスをしていたんですけど、正直にやるとなかなかできない。真ん中にある本当に出したい部分は出てこなくて、ドーナツ状にしか作れない。
結果としては、真ん中には音としての情報はいっさい入ってなくて、周りにあるものを整えたら、気配として『それ』が立ち上がってきた。
人間、正直にやると真ん中に穴が空くんだって思ったんですよ。嘘をつくとね、ちょっと強引にでも中心の部分って描ける。でも、ホントに正直に、真摯に臨んだら、描けるはずがないんですよ。正直に伝えよう、残そう、と思ったら全く描けなくて」

ドキュメンタリー映画『或る音楽』より
高木「神話も同じことです。神話は、伝えるべき何かをうまく描けてないんですよね。1つの神話に対して、いくつもストーリーがある。いろんなバージョンといったらいいのか。そのいくつかの神話を同時に捉えた時にはじめて、ようやく『あ、こういうことが言いたかったのか』って真ん中にあるものが立ち上がる。神話とはそういうもので、そのものズバリを言い当てているものなんてひとつもないんです。
『地球がどう生まれたか』という創世神話でもいろいろなパターンがあるけど、どれも『これが正解』ということはない。真ん中が描けているものはない。人間は、正直になって物事に臨むとそうしかできないんだと勉強になった」
「ピアノ」と「自己表現」
——部屋ごと音が響いている感覚。
高木「今まで音楽を作ってきた時も、別にいいものを作りたくて作ってるわけじゃなかった。
あとで曲を聴いた時に、分析し尽くせない何かがあって。その分析できないものが気になっていた。いつでも分析できない何かができればいいけど、そうではなく、どうやった場合にそういう曲ができるか理由がわからない。入り方ぐらいはわかるんだけど。例えば、朝早く起きたらいいとか(笑)。そういう周りの環境みたいなものは整えられるけど、真ん中のこと、曲の本当の出どころはわからない。
その中心にある謎が知りたくて、たぶん曲を作っていたんだと思う。そこの部分についてちゃんと知りたかったら、『音楽とは、そもそも……』というところに戻るよりほかがなかったんです。いちばん最初まで戻ると、凄くシンプル」
S「音楽でこの先を見るのではなく、過去を見ていた?」
高木「人類で自分がいちばん初めに音をポーンと鳴らした状況。誰も音楽を作ったことがなくて、音を発したことがなくて。そこに自分がいて、初めて音を発した状況を想像すれば、自分にとって音楽とは何なのかがよくわかるはずだと思った。今まで何となく『音楽』と思って聴いていたり、演奏したりしていたものでも、そういったことを考えると違和感が出てきたんですよ。
初めて音を鳴らす時、どんな目的があるのか、どんな音なのか、どんな気持ちになるのか。それを考えると、僕の中では、音楽って絶対に『自己表現』なんかじゃないなと思ったんです。まずは、そういった気持ちがあって……。
例えば、ピアノを弾いた時、前までは音として捉えていたんですよ。『今日は、気持ちのいい音がするなぁ』『今日は、湿気があって音が淀むなぁ』とか。道具に対して、文句を言いたくなる時もあったりしながら……そうやってピアノに対して向かっている時があったんです」
S「なるほど」

ドキュメンタリー映画『或る音楽』より
高木「でも、このコンサートの準備をしている最中に、ピアノが凄く好きになった。もちろん前から凄く好きだったけど、より好きになって。
部屋ごと音が響いている感覚というか、部屋の壁が揺れている感覚というか、それがわかるようになりました。何を弾いても楽しい。小鳥のさえずりとかおばちゃんの声とか、外で音がしているところまで自分の感覚が広がっていくようになったんですよ。まずは、楽器に自分を合わせて、そこから部屋へと自分の感覚を広げる。そうやって範囲を広げると、何を弾いていても楽しくなってくる。勝手にメロディが出てくるんですよ。
今まで、いかに自分が狭い中で音楽をやっていたのかがわかりました。常にきちんと音楽に向き合っていたわけじゃなかった。それがわかりました」
S「座禅を深めると、自分と外の境界がなくなり、感覚が外までのびる。すると、自分を囲う空間の壁まで、『自分』という感覚になってしまうという話に似ていますね」
「三線」と「自我」
——どこかに、根っこをはるだけでいい。

高木「日本の音楽の歴史って、近いところでは明治や戦争で断絶しているんですよ。例えば『とおりゃんせ』は、今、1パターンしか残ってないっぽいですが、もっとたくさんのパターンがあったかもしれない。そういうパターンを、近代化する時に1つに絞ってしまった。だから、日本のものをやりたいと思っても、今は点でしか残っていない。
僕が知りたいのは、消される前、まとめられる前にあった百なり千なりの総体なんです。もっと、地域につながっているものを聴きたいのに、ほとんど残っていない。ところが、日本ではぷっつり切れているものが、沖縄やアジアまで足をのばすと残っているんですよ。切れているものの続きが。
例えば沖縄でおっちゃんが三線を弾いていたり、バリでガムランを聴くと、音がストーンと自分の中に入ってくる。遠く離れた国でも、例えば、サハラ砂漠で太鼓やギターの音を聴くと、空気と時間と場所と、いろんなものが音と結びついてすーっとどこまでものびていくんですよ。『なんや、この音』って思う感覚と、『どの音も、全部いっしょだ』と思う時……その瞬間に、さっき話した部屋でピアノを弾いた感覚も、「そうだよなぁ」って合点がいった。大気と共鳴したいだけなんやなと。そして、どこかに、きちんと根っこを張るだけでいいんだって。
そこに気づいたら、出てくる音楽が変わってきた。その場所に足をつけたら、根っこでいう繊毛が伸びてきて、自分の血に流れているであろう、これまで日本人が関わってきたであろう……たとえば、モンゴル人やインド人が助けてくれたりしたところまで繊毛が伸びていって、イタコ状態で音楽が作れるようになって。音楽とは、そういうものだってわかったんですよ。
音楽には、『自分』なんて、どこにも入っていなかった。真ん中にあったのは、『自我』だったんだって。今まで邪魔していたのはそいつだったんだって。この中心の部分、自我を抜いたら、なんて自由なんだろうって感覚を持てるようになりました。だから、次に作るものが楽しみです。ここまできたら無敵だって(笑)」
S「凄いレベルまでいきましたね」
高木「いや、ただの思いこみですよ(笑)。でも、これは音楽だけじゃなく、映像を作る時もそうしてるんですよ。映像を作る日の前に、寝る時に自分の好きなように寝転んで、足の先から順にスイッチオフにしていく。それで重さを感じるんです。足が重くなるのをイメージして力を抜いていく。最後に頭を消して。そうしたら何か映像が見えてくる。何が見えても見えたものにとらわれずに流して、奥にあるものを見続けると、具体的な絵が見えてくる。でも、そんな感覚的な説明では誰にも映像の作り方を教えられない(笑)。
今は、どこに足を付けていたらいいかがわかった。いかに売れるかとか、いかに気持ちよく聴いてもらえるかとか、そういうとこに足をつけても作れるけど、もうそれはお腹いっぱい。子どもの頃から、『やっぱりいいなぁ』って思っていたものを作りたくなって。自分の「芯」に近いと感じるところにいきたくなった。なんだか世捨て人のようになってきた(笑)」
「家」と「日本人」
——もう光と闇が同じでいい。
S「次は、いよいよ出家ですか(笑)」
高木「出家しなくてもできるなぁと思っていて。今、引っ越ししようと思ってるんだけど、京都の日本海に近いところに。古民家があって……まずテカイ。ひと部屋が30帖くらいの間取り。7、80年くらい前の家だと思うけど、おばあさんがていねいに住んでいたのがよくわかるんです。『田舎のおばあちゃんち』って、基本的に怖いですよね。闇の部分が絶対にある。それを感じるじゃないですか。その闇も、わざと造っているんだろうなと思うんですけど」
S「そういう造りらしいですよね。昔の家は、田の字形に部屋が配置されていて。ハレの要素もケの要素も全てがあって」
高木「やっぱり。いろいろと家を見たけど、近代化以降の家を見ると、闇の部分がなくて全てが明るいんです。今なんか葬儀とか、闇の部分は全て外に任せるようになった。でも、それ以前の家を見ると、わざわざ違和感のある別空間を入れている。自分じゃない、内側にいるべきじゃないものを、わざわざ家の中に組み込むんですよね。
そんな家に住むとなったら怖いなっていうのもあるんですけど。『となりのトトロ』の階段みたいなのとか、井戸とかあったり。ホントに怖い。でも、この怖さは、人間にとって必要なものだったんじゃないかなと思って。でもいざ住み始めたら、排除していくんかもしれないけど(笑)」
S「古いものに惹かれてるんですか?」
高木「懐古主義ではないんだけど。考えているのは、人は今まで何をやってきたかってこと。昔のことを調べれば調べる程、人間がやってきたことって『ヒト』になった頃からまったく変わってない。人としての悩みも、表現しているものも。その核は変わらなくて、時代時代で社会の構造や仕組みだけが変わっている。それに合わせて、人間の表現が変わっているだけ。根っこは同じ。派生していくものもあるけど、関係ないものは自然に消えて、芯だけが残る。
例えば、神話の世界と宗教や科学も根っこは同じだと思うし、芸術も根っこは同じだから、変にカテゴライズしなくてもいいなぁと思う。カテゴライズをなくしたところまでいちど戻ったらどんなふうになるんだろう、そこまで戻りたいなって思って。『家』も同じですよね。何でもいっしょにしていたのを、わざわざ光と闇をわけてしまって。でも、もう光と闇が同じでいい。浄と不浄が一緒になっていてもいいと思って。ふつうに日本人として暮らしたいという気持ちを追ったら、そこに辿り着いたんですよね」

ドキュメンタリー映画『或る音楽』より
この取材は、4月末に行なわれた。インタビューを終えた私たち取材班は、高木の饒舌さにかき立てられて静かに波打つ気持ちを確認しあって取材場所をあとにした。言葉では表すことのできない「何か」が、まさに今、新しく動き出している気配を感じた。
6月21日、高木は、東京「青山ブックセンター本店」で今回の神話集の編纂を手がけた石倉とトークショーを行なった。ラスコー洞窟の壁画に、ヒトと自然の新たな関係性をみて、ヒトが話すコトバに、物事を表現しきれないもどかしさを感じるなど「ヒトはなぜ表現をはじめたのか」という大きなテーマが展開された。その場で高木は、新しい音楽を制作中だという話をしていた。京都・下鴨神社と上賀茂神社に伝わる「葵祭」に関する映像につけるものだという。果たして、「ふつうに日本人として暮らしたい」彼と、より祭りの神髄が残っているという「葵祭」がかけあわされたら、どんな曲ができあがるのか。
そこには、ラスコー洞窟で響いていた音が鳴るのだろうか。
<収録トラック>
「タイ・レイ・タイ・リオ」プロジェクトに関するメッセージ / 高木正勝
高木正勝 Masakatsu Takagi
1979年、京都生まれ。映像と音楽の制作を等価に手掛け、世界的な注目を集めるアーティスト。CDやDVDのリリース、美術館での展覧会や世界各地でのコンサートなど、分野に限定されない多様な活動を展開している。芸術人類学研究所や理化学研究所との共同制作など、コラボレーションも多数。NOKIAのコミッションで制作した映像/音楽作品が世界各地のNOKIAフラッグシップストアおよびヒースロー空港ターミナル5にて公開中。
●高木正勝 Official Web
http://www.takagimasakatsu.com
●高木正勝「Tai Rei Tei Rio」プロジェクト特設Web
http://www.epiphanyworks.net/trtr/
高木さん自身による「タイ・レイ・タイ・リオ」全曲解説やコラム、神話編纂者・石倉敏明さんによる解説、『或る音楽』監督・友久陽志さんからのコメントなど、ここでしか読めないコンテンツがいっぱい。
●新作CD+神話集
高木正勝「タイ・レイ・タイ・リオ」
エピファニーワークス EPCT-1 3000円
●ドキュメンタリー映画『或る音楽』
7月4日(土)~24日(金)
東京「渋谷ユーロスペース2」(渋谷区円山町1-5、tel.03-3461-0211)にてレイトショー
7月18日(土)~24日(金)
愛知「名古屋シネマテーク」(名古屋市千種区今池1-6-13今池スタービル2F、tel.052-733-3959)にてレイトショー
他、全国順次公開
2009 07 04 06:53 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


photographs by Rai Shizuno |
「2年前にインドのシタール奏者スジャット・カーンに弟子入りしたんです。インドでも古典音楽は高尚なものと思われているのに、この人は漁師の民謡など、アカデミックな人が嫌うような音楽をどんどん取り入れてるんです。土着のものをどんどん温故知新して、権威と闘ってる感じ。パンクなんです。インドで弟子入りなんてすると古典音楽ガチガチになるかなと思っていたけれど、実は師匠のほうがアヴァンギャルドだったんです」
東京・六本木の森美術館で開催中の「チャロー!インディア:インド美術の新時代」展関連イベントで、ヨシダは東京の夜景をバックにインド古典の16拍子リズムサイクルをスクリーンに投影しながらシタールを演奏した。聴き手はスクリーンに合わせて手拍子を叩くことで、曖昧で瞑想的なものと思っていたインド古典音楽に積極的に参加し、各々の楽しみ方を見いだせる。シタールの奏でるコブシたっぷりの旋律に不思議と親しみを覚えるのだ。
「収録曲は自作の『ラーガ海ヤマン』。ラーガとは俳句の季語のようなものだと思ってください。ヤマンは楽しい夕方です。インドの暑過ぎる昼が過ぎ、さてこれから涼しい夜という夕方のホッとひと息ついた感じ。そこに日本の海っぽさを加えたんです。僕は紀伊半島の生まれで、海に行くとホッとするので」
3月には初の著書、曰く「シタールとインド音楽を使って遊ぶ本」こと『シタールのほん』が上梓される。2009年も彼の一挙一動から目が離せない。(文・サラーム海上)
今回のポッドキャストは、月刊『ソトコト』2009年2月号収録の楽曲「Raga Umiyaman」に、オリジナル映像をつけてスペシャルバージョンでオンエア! 『ソトコト』ポッドキャスト史上初となるムービーつき。見逃し厳禁です!
<収録トラック>
Raga Umiyaman / Sitaar Tah!
シタール奏者。スジャット・カーンに学ぶ。インド古典音楽を学びつつ、民謡から現代音楽とのコラボレーレョンや楽曲提供、プロデュースなどを行う。ヨシミ(ボアダムス、ooioo)との saicobabaやAlayaVijana、シタール10〜30人バンドSitaar-Tah!、奄美民謡・朝崎郁恵とのはまさきユニット他で活動する。2009年3月には、著書『シタ〜ルのほん』を発表する予定。
●ヨシダダイキチ Official Web http://www.myspace.com/yoshidadaikiti
●Sitaar-Tah! Official Web http://www.sitaar-tah.org/
![]() |
ヨシダダイキチ著『シタ〜ルのほん』 プリズム刊 |
●LIVE INFORMATION
「クリスタルボール、波紋音、カリンバ、シタールのライブ」
日程: 2009年1月30日(金)
会場: 自由学園・明日館講堂(東京都豊島区西池袋2−31−3)
料金: 前売り4500円/当日5000円
詳細: ピンポイント http://www.pinpoint.ne.jp/
「チャロー!インディア:インド美術の新時代」
会期: 2009年3月15日(日)まで開催中
会場: 森美術館 六本木ヒルズ 森タワー
詳細: 03-5777-8600、http://www.mori.art.museum/
*1月20日(火)には、再び森美術館でヨシダのライブが予定されている。
このライブは森美術館のメンバーだけが無料で参加できるスペシャルイベント。
詳しくは http://www.mori.art.museum/contents/india/event/index.html まで。
2009 01 05 08:00 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


Amsterdam Klezmer Band |
オランダの音楽と聞いてクラシックやテクノを連想してしまうリスナーのみなさん。……正解です。でも実は、もうひとつの顏を持っています。オランダは他民族国家。彼らの奏でる多様な音楽が、彩り豊かに響き渡る国でもあるのです。
今回、オンエアするバンドは2組(『ソトコト』付録CDには3組収録)。1組目はアムステルダム・クレズマー・バンド。そして、2組目は、OMFO(オムフォー)。ともにオランダ在住ながら、片や東欧ユダヤ音楽を、片やアゼルバイジャンの民謡を彼ら流につたえてくれるオリジナリティあふれるアーティストです。オランダが持っているもうひとつの顏を、お楽しみください!
また、『ソトコト』11月号「エスケープ・ルート」特集では、よろずエキゾ風物ライターのサラーム海上さんによる、オランダ発のワールドミュージックの祭典『ダッチ・ブレンド・ミーティング』のレポート記事も掲載! あわせてお読みください。
<収録トラック>
Banat / Amsterdam Klezmer Band
Azerbaidjan / OMFO
●Amsterdam Klezmer Band Official Web http://www.amsterdamklezmerband.nl/
●OMFO Official Web http://www.omfo.net/
●essayrecordings Official Web http://www.essayrecordings.com/
![]() |
Amsterdam Klezmer Band「Banat」 |
![]() |
OMFO「Azerbaidjan」 |
2008 10 06 12:18 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
photographs by Masahiro Sugimoto |
月刊『ソトコト』10月号の付録CD「Radio SOTOKOTO」では、マイク真木 meets 高田漣、YoLeYoLe、Peace-Kによる“夏の終わり、海辺のリラクシン・ミュージック”をお届けしましたが、連動企画「Radio SOTOKOTO podcast collection」では特別対談をお送りします。
“夏の終わり、海辺のリラクシン・トーク”と題して、葉山在住のミュージシャンPeace-Kさんと、バンドYoLeYoLeのボーカル・naoさんのスペシャル対談をオンエア! バックで聞こえる音楽「New Moon」は、ライブ会場のみで販売されているというPeace-Kさんの曲。スイス生まれの楽器「ハン」を叩いたりこすったりして、幻想的で心地よい世界をつくりだしました。ちなみに録音は、2006年2月28日に葉山・森戸の海で行われたそう。この日は、新月! 月が持っている特別なパワーが込められました。
今月のナビゲーターは、ライターのすぎもとまさひろさん。それでは、過ぎゆく夏をおしみながら、ユル〜くお楽しみください。
<収録トラック>
Peace-K × naoスペシャル対談!
葉山在住の音楽家。現在はCaravanなど多数のミュージシャンのライヴやレコーディングで活躍中。そんな縁のあるミュージシャンが集うイベント「Pすけ祭り」を不定期で開催する。現在、1stアルバム「Peace Tree」を発売中。
nao ナオ
YoLeYoLe(活動休止中)のボーカル。現在は、湘南を拠点にギターの弾き語りでソロ活動を行っている。また、8月には、解散直前のYoLeYoLeのライブ音源を収録した「Live YoLeYoLe ~KaNeYoLe~」を発表した。
●Peace-K Official Web http://www.k5.dion.ne.jp/~peace-k/top.html
●nao Official Web http://naoecho.jugem.jp/
![]() |
Peace-K「Peace Tree」 |
![]() |
Peace-K「New Moon」 |
![]() |
YoLeYoLe「Live YoLeYoLe ~KaNeYoLe~」 |
●タフビーツ Official Web http://www.tuff-beats.com/
2008 09 05 06:56 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
今回の「Radio SOTOKOTO podcast collection」は、月刊『ソトコト』9月号と連動して、結成15周年を迎えた無国籍音楽楽団のダブルフェイマスを特集します。結成当初の1993年といえば、非西欧世界の音楽がまだ珍しかった時期。メンバーみんなが吸収・消化してきた音楽を独自のスタイルで響かせ、ボクらを楽しませ続けてきて15年! そんなダブルフェイマスが、2枚の作品を発表します。新録アルバム「DOUBLE FAMOUS」と、未発表曲等をまとめた「Happy Hour」。どちらも思わず踊り出すロックでエキゾな仕上がりです!
ポッドキャストでは、『ソトコト』9月号の「Radio SOTOKOTO」にも収録した彼らの定番曲「Fire, Fire」をショートバージョンでオンエア。1994年に録音されたこのデモバージョンは、メンバーが学生だった当時、大学のホールで演奏されたもの。そして、もう1曲は『ソトコト』2007年10月号でレコーディングの模様をレポートした「Double Famous Common Songs Project」から「La Paloma」を、こちらもショートバージョンで。“蓄音機”録音によるザラついたサウンドがノスタルジックなこの曲は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開して、演奏・アレンジの権利を解放されたもの。どちらも貴重な音源です。レッツ・エンジョイ&ダンシング!! ……そして、フルバージョンは「Happy Hour」で。
<収録トラック>
Fire, Fire(1994 DEMO ver.【short edit】)/Double Famous
La Paloma【short edit】/Double Famous
Double Famous ダブルフェイマス
10人編成のダンスホール楽団。1993年結成。1998年の1stアルバム「ESPERANTO」以来、4枚のアルバムを発表。7月には、ニューアルバム「DOUBLE FAMOUS」を発表した。9月24日には、様々なアーティストへの提供曲や未発表音源などを凝縮したアルバム「Happy Hour」を発売する。9月27日には大阪『心斎橋クラブクアトロ』で、28日には東京・恵比寿『The Garden Hall』で、ワンマン公演「“Double Famous presents Brilliant Colors" -15th Anniversary Special」が行われる。
●Double Famous Official Web http://www.doublefamous.com/
![]() |
Double Famous「DOUBLE FAMOUS」 |
2008 08 06 12:45 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
photograph by
Rai Shizuno
今回の「Radio SOTOKOTO podcast collection」は、シンガーとしての活動に加えて、クムフラとしてフラ〜ハワイアンカルチャーをわたしたちに伝えてくれる、Sandiiさんをお迎えしました。昨今のハワイアンブームの火付け役ともいえるSandiiさんのニューアルバムのテーマは「タヒチ」! 聞くものを南の楽園に誘ってくれる、ピースフルな作品です。
ポッドキャストでは、月刊『ソトコト』8月号の「Radio SOTOKOTO」のために行われたインタビューを編集。とっても素敵なお話の中から、新作を制作するにあたり訪れたというタヒチ〜イースター島での不思議な巡り合わせやタヒチアンダンスのお話などをご紹介します。さらには、新作からの楽曲をショートバージョンにして特別にオンエア! どうぞお楽しみください!!
<収録トラック>
Hari Hari ke’ao(short edit)/Sandii
インタビュー
Bora Bora E(short edit)/Sandii
インタビュー
Tamure Tamure(short edit)/Sandii
インタビュー
Maita'i Tahiti/Sandii
Sandii サンディー
シンガー/クムフラ。サンディーズ・フラスタジオ主宰。1974年より日本での活動を開始。サンディー&サンセッツやソロ名義で数々のアルバムを発表。2001年、「Sandii's Hula Studio」設立。2005年、クムフラ(古典フラの正統的継承者)になる。7月23日には、タヒチ・トラディショナルソング集「MOANA NUI 〜Sandii's Tahitian Passions 2〜」を発表する。
●Sandii Official Web http://www.sandii.info/
![]() |
(MP-8009) |
2008 07 05 12:00 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
photograph by
Yusuke Abe
月刊『ソトコト』7月号付録CDは、アイスランド音楽特集。アイスランドといえば、ビョークやシガー・ロスを生んだ土地としても有名。リニューアブル・エネルギーの国であり、音楽大国でもあるアイスランドのイマが感じられる楽曲を、収録可能時間ギリギリまで収録しました。聞き応えたっぷりの全18曲です!
「Radio SOTOKOTO podcast collection」では、付録CDからの4曲と、そこには収録できなかった7曲を特別にオンエア! アイスランド音楽の最前線がここにはあります。お聞きのがしなく!
<収録トラック>
Morðingjarnir / Ekki í dag
Klive / Commonwealth
Ólafur Arnalds / 3055
Hafdis Huld / Hometown Hero
Mangoose / no innings
Valgeir Sigurðsson / FocalPoint
Dikta / Breaking the Wave
Steintryggur / Mousehunt
Stereo Hypnosis / Parallel Island
Jara / Come
JFM / The Squid And The Moon
●月刊『ソトコト』7月号付録CD収録楽曲クレジット
|
01. Valgeir Sigurðsson / FocalPoint (written: Valgeir Sigurðsson) from the album: Ekvílibríum http://www.bedroomcommunity.net/ 02. Seabear / Libraries (lyrics: Sindri Mar, music: Sindri Mar) from the album: The Ghost that Carried us away (published by M+s Industries/warner Chappell, (P) 2007 Morr Music, ISRC DE-X26-07-07603, under courtesy of morr music) http://www.seabearia.com/ 03. Rökkurró / Ferðalangurinn (written: Rökkurró) from the album: Pod kolnar i kvold.... http://www.myspace.com/rokkurro 04. JFM / 87th Floor (written: Jakob Freeman Magnusson & Addi 800) from the album: Piano! http://www.myspace.com/jfmofficial 05. 7oi / Við eigum allt eftir (written: 7oi) from his upcoming album http://www.myspace.com/7oi 06. Ólafur Arnalds / 3055 (written: Ólafur Arnalds) from the album : eulogy for evolution http://www.myspace.com/olafurarnalds 07. Vedis / A Beautiful Life (lyrics: V.H.Arnadottir (Vedis), music: V.H.Arnadottir/J.Maher) from the album: A Beautiful Life - Recovery Product (Albums available on ICELANDia music shop and digital download on iTunes worldwide.) http://www.vedismusic.com/ 08. Calder / Vessel http://www.myspace.com/calderinn 09. Hraun / Astarsaga ur fjöllunum (lyric: Svavar Knutur, music: Hraun) from the album: I can't believe it's not happiness http://www.myspace.com/hraunhraun 10. Mr. Silla & Mongoose / Foxbite (written: Mr. Silla & Mongoose) from the album : Foxbite http://www.myspace.com/mrsillamongoose 11. Hjaltalínl / Traffic Music (lyrics: Eggert Petursson, music: Hogni Egiilsson) from the album: sleepdrunk seasons http://www.myspace.com/hjaltalinband 12. Hellvar / Give Me Gold (written: Hellvar) from the album: Bat out of Hellvar http://www.myspace.com/hellvarmusic 13. Hafdis Huld / Hometown Hero (written: Hafdis Huld Thrastardorrir / Boo Hewerdine) from the album: Dirty Paper Cup http://www.hafdishuld.com/ 14. Dikta / Breaking the Waves(Acoustic) (lyrics: Haukur Heiðar Hauksson , music by: Dikta) This is a special acoustic version, not included on any of Dikta's albums. http://www.myspace.com/dikta 15. Borko / Spoonstabberinn (lyrics: Björn Kristjánsson, Örvar Smárason, music: Björn Kristjánsson) from the album: Celebrating Life (published by Copyright Control,(P) 2008 Morr Music, ISRC DE-X26-08-08002, under courtesy of morr music) http://www.myspace.com/borkoborko 16. Steintryggur / Mousehunt (music : Steintryggur) http://www.myspace.com/steintryggur 17. GusGus / moss (radio edit4) (written: daniel agust, produced and mixed by gusgus) from the album: Forever (published by greatstuff edition) http://www.myspace.com/gusgus 18. Frank Murder / Poster Boy (written: Frank Murder) http://www.myspace.com/frankmurder |
●問い合わせ
ICELANDia音楽ショップ http://icelandia.shop-pro.jp/
2008 06 05 06:03 午後 | 固定リンク | トラックバック (1)


![]() |
photograph by
Hiroshi Takaoka
ビン笛とは、1~10本のビンを指に挟んで笛のように吹きながら演奏をすること。ビン笛合奏団「Laマーズ」のメンバーの自宅兼スタジオを訪れると、並んでいたのは数々のビンだった。ドレッシング、リキュールのミニボトル、一升ビン……。ビンの中に入れられた水の量を調節しながら、音階を作っていく。
「ビンの種類や吹く人の口の形、体格によっても音が変わります」と話すのはSachiさん。Laマーズ結成のきっかけになった人物だ。
「最初は酸欠になりました」とRikaさんは笑う。Sachiさんの呼びかけに対して、真っ先に興味を示したのが彼女。右も左もわからないまま、高度な曲も「吹きたかったから」という理由でチャレンジした。誰も、できないとは思わなかった。未知数だからこそ、やってみなければわからない。既存の曲も、ビン笛で奏でると印象ががらりと変わるのが面白かった。
「演奏する場所によっても違うんです。銭湯でコンサートを行ったこともありました」とSachiさん。ビン笛ならではのまるく優しい音色が、老若男女に受け入れられる理由だ。お年寄りや妊婦さん、赤ちゃんの前でも演奏した。瞬く間に有名になり、あれよあれよという間にハルモニア杯で優勝。メジャーデビューも果たした彼らに、次の目標を聞いてみた。
「スペインの教会・サグラダファミリアで演奏してみたい。ここは聖歌隊が歌うと街中に歌声が流れる設計になっているんです。そこにビン笛隊を入れて吹いたら気持ちいいだろうな。妄想ですけど(笑)」と、メンバー唯一の男性、namecoさんは語る。彼らには「できない」という概念がない。とりあえずやってみる。そういうスタンスで取り組めるのだから、きっと妄想も現実になるに違いない。(文・仲野聡子)
<収録トラック>
Laマーズインタビュー+演奏!
Laマーズ LaMARS
ビン笛合奏団。2000年秋に結成、高円寺・阿佐ヶ谷・十条を拠点に、アートイベント・ライブ・幼稚園・カフェ・ワークショップなどで活動中。2008年5月には、アルバム「夢耳心地」でメジャーデビューを果たす。レパートリーはポピュラー、ジャズから演歌、童謡、クラシック、オリジナル曲まで幅広い。
●Laマーズ Official Web http://la-mars.com/
![]() |
(CRCP-40200) |
2008 06 05 06:00 午後 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
photograph by
Masaya Tanaka
ピアニカは小学校の低学年時に誰もが演奏する楽器。そのためおもちゃ的な認識があるが、改めてピアニカの音色を聴くと、どこかノスタルジックで確かな存在感がある。そのピアニカをいち早く「楽器」として演奏してきたのがピアニカ前田さん。ピアニカをいじり始めたのはなんと30年も前のこと。きっかけは「スティービー・ワンダーの『イズント・シー・ラブリー?』のハーモニカに聞こえる部分はピアニカ」という友人の嘘だった。「さすがスティービー・ワンダー!」とピアニカを練習し始めた前田青年は、独自の演奏法を編み出し、ついには、だました友人に逆に「すげー! どうやって弾いてんの?」と言わしめた。そんなギャグみたいな出来事が、“ピアニカ前田”を生み出すことに。
鍵盤の数が限られているし、表現の幅は狭いだろうと思っていたら大間違い。どんなジャンルでも試行錯誤すれば弾きこなせることがわかり、「何でもできんじゃん!」ということに気づく。「不自由な楽器だと思っていたけど、始めると全く気にならなかった。未だに『もっとおもしろい音が出るんじゃないか?』って思えるほど奥が深いよ」。例えば、最初はサックスを吹いているイメージをしながらピアニカを弾き、転調させて音域が上がるところでトランペットのイメージをする。このようなイメージの切り替えだけでも、音が大きく広がっていく。
10年ほど前に、小学校でピアニカを演奏してほしいという依頼を受け、体育館で全校生徒を前にライブを敢行。子供たちが興味を持てる、その後レパートリーにスタジオジブリやディズニーの名曲たちを取り入れた。「『となりのトトロ』の『さんぽ』を演奏したら、ピッチや音程を無視して子供たちが『歩こー歩こー』って絶叫して歌うんだよ。声の塊がこっちに向かってぶつかってくる感じ。鳥肌もので、ほんとに感動しました。大人相手にライブハウスでやってもそんな感じはないから」
その衝撃体験と、「ピアニカを一つの楽器として認めてもらうためには、まずは低年齢層から」という思いから、幼稚園や小学校での出張演奏を行っている。使うのは子供たちが授業で使うものと同じ“32鍵”のピアニカ。「これをかっこよく演奏することで、『がんばればいい音が出るんだな』って思ってもらえればいいね」。(文・舟川直美)
<収録トラック>
ピアニカ前田さんインタビュー
ピアニカ前田 Pianica Maeda
1954年、鳥取生まれ。上京後、ピアニストとして活動。1989年より「ピアニカ前田」を名乗り、ソロや、自身で率いるバンド「ピラニアンズ」で活動する。昨年11月には、ピラニアンズとしては10年ぶりの作品となる「ライブ(復活中!)」をリリース。そして4月23日には、ソロ名義で「ピアニカで聴くスタジオジブリ作品集」を発売した。
●ピアニカ前田 Official Web http://www.suzakmusik.com/pianicamaeda/
![]() |
(UICZ-4179) |
2008 05 02 02:05 午前 | 固定リンク | トラックバック (0)


![]() |
photograph by
Rai Shizuno
自分が持っているものの中には、ことあるごとに引っぱりだされるという、どれだけ時間が流れてもまったく色褪せないものがあって、そんな年代ものになりうるのはたいてい、ワケもなく心地のよいものだったりする。リトルテンポの新作『山と海』とのファーストコンタクトは、そんなダブやレゲエという形容も飛び越えた“年代もの”の予感をさせる、軽快でいて深く温かな味わい。ジャケット写真の情景の中からポコッと生まれたような、匂いさえ感じられる音だった。
このリトルテンポのサウンドリーダーで、スティールパン奏者の土生“TICO”剛さんは、東京生まれ、東京育ち。このアルバムには、昨年の夏、「長野の安曇野でひとり合宿した」時に生まれたという曲もいくつか収録されている。
「都会に生まれ育ったからか、自分の中にはいつも自然への憧れがあるんですよね。東京を離れて、ボケーっと山でも眺めながら楽器を弾いて……そこで自然に出てきたものをそのまま形にした。だから、これは自然のなせる業なんです(笑)。こうしてやろうっていう作戦もなく、野心に燃えて……みたいなこともなくて。自分が演奏しながら感じたキモチよさが、誰かにも伝わればいいなという感じですかね」
子供の頃から「自慢じゃないけど、左脳がない(笑)」という土生さんを媒介に繰り広げられる、どこまでもポジティブで自然感覚なグッドミュージック。そして、朝焼けの繊細なグラデーションに浮かび上がったタイトルにも、思わずニヤける響きがある。
「長野の友人たちから聞いたことなんですけど、自然の風景写真でいろんなコンテストに入選したりするアマチュアカメラマンのおじさんに、『いい写真を撮るには?』っていう質問をしたら、『カーブとかシュートはないんだよ。すべて直球!』っていう答えが返ってきたっていう。なんかいい話。だからこのアルバムタイトルも、『山と海』にしました」(文・石田エリ)
<収録トラック>
土生“TICO”剛さんインタビュー
Little Tempo リトルテンポ
今年、結成15周年を迎える9人編成のダブバンド。自らのレーベル「Sunshine Records」を設立し、3年振りとなるニューアルバム「山と海」を5月2日にリリースする。現在、高知を皮切りに、全国ツアー「Little Tempo "山と海" Tour 2008〜15th Anniversary 笑顔で逢いまShow!〜」を展開中。
●LITTLE TEMPO Official Web http://www.littletempo.com/
![]() |
LITTLE TEMPO「山と海」 |
2008 04 05 03:53 午前 | 固定リンク | トラックバック (0)
>>音声ファイルのダウンロード


























