歴史が深く、懐も深い。観光名所でありながら、ゆっくりとしていて地元の人々のきちんとした暮らしも見えてくる。鎌倉はそんな印象の街だ。
撮影やホームパーティなど、ちょっとがんばってお料理する日は「鎌倉市場」まで野菜を買いに行くという野村友里さん。「そのおかげで、鎌倉の近くに住んでいると間違われることもあるんですよ」と笑う。40軒弱の農家が4班に分かれ、4日ごとに7、8軒ずつひとつの場所に集まり、自分たちで育てた野菜や花を売っている。野村さんのお気に入りは2班。「今日はこれを買おう! じゃなくて、行かなきゃ何があるかわからないのが楽しいんですよね。集まる農家の方々はとても勉強熱心で、いつも、スーパーではあまり見かけない野菜があるんですよ。採れたてで新鮮だから、ほんとにおいしいんです」と野村さん。ルッコラやセージなど、たくさんの西洋ハーブ、大きな島オクラ、辛子水菜、カプリスというまだらのなす、インゲンに似たささげ、ハラペーニョ、変わった形のイタリアントマト、巨大なゴーヤなどなど、都内では見られない珍しいものがずらり。どれもつやつやとして見るからにおいしそうなのだ。合流した大貫妙子さんも、トマト、キュウリ、お花などを購入。「私の目の前でトマトを買ってたおばさまが、台の後ろに置いてあるトマトを見て、『もっとどんどん出しなさいよ!』なんて言ってました(笑)。すごいね、パワーが」と大貫さん。
鎌倉市場は昭和3年(1928年)に始まり、正式には「鎌倉市農協連即売所」という。外国人牧師から「ヨーロッパでは農家が自分で生産した野菜を、決めた日に決めた場所で直接消費者に売っている」という話を聞いたのが、発足のきっかけになったと言われている。鎌倉市場は不況に見舞われていた農村が自立更生するのに一役買い、当時としても最先端の方法だったそう。現在まで続いているということは、確かに農家にとっても、地元の人にとっても優れたシステムなのだろう。
鎌倉市場で買い物を済ませた後、野村さんが立ち寄ったのは「肉のはぎわら」。鎌倉駅前に開業して55年の、赤茶色のレンガ造りのお肉屋さんだ。福島の黒毛和牛、地元神奈川のやまゆりポーク、宮城の香り鶏などおいしいお肉が揃う。「無添加の自家製ハムやソーセージもあるんですよ」と野村さん。
食材の買い物をじっくり楽しむのも、たまには気持ちがいいものだ。
神奈川県鎌倉市小町1-13-10
『肉のはぎわら』
神奈川県鎌倉市小町1-4-29
tel.0467-22-1939
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